2017年5月28日日曜日

EXIT

先日アクアリウム業界に大きなニュースが飛び込んできました。

オフィス用品通販最大手のASKULが、同社が手掛ける個人向け
ネット通販LOHACOにおけるペット関連の商品を強化するために
チャームを完全子会社化しました。
手法としては株式の100%取得です。

さて、大きなお世話ではあると思いますが、これが何を
意味するのかを考えてみたいと思います。

アスクル自体は2012年に第三者割当でヤフー傘下になっていて、
その後2015年の自社株買いで、ヤフーの議決権割合が
上昇したため、連結子会社となっています。
BtoBの成長再加速とBtoCを一気に拡大させるため
だったようです。

そのBtoCの拡大の一環としてLOHACOがあったのですが、
そこで自前でペット関連を強化するよりは、ペット関連の
ECとして成功しているチャームを買収した方が効率が良い
と言う判断だと思います。そんなに単純では無いので
しょうけど、知識のない外野からしたらそんなところです。

ざっと流れを見てみましたが、アスクルのリリースから
読み取れることがあります。
まず、チャームの説明の中で
「犬・猫のペットフードやペットシーツ、アクア用品、熱帯魚」
とあります。
これがアスクルの見ているチャームの取扱品目の
序列であると考えられます。

次にLOHACOとのシナジーの説明で
「チャームのお客様の約6割が女性であり、」
とありますが、観賞魚店ではありえない比率です。つまり
チャームの商品構成のメインは既に犬・猫・小動物に
なっていると考えるのが自然です。
また、ロングテール品の品揃えが課題だったということは
元々の商品群に幅を持たせたかったのだと思いますが、
そう言う細かい需要を拾うには、今までの蓄積がある
チャームはもってこいなのかな、と想像します。
ただし、この場合どう考えても熱帯魚は含まれません。

最後にeコマースにおけるペット用品の成長性、という
ところでは
「ペットの家族化」を背景とした高額化・高付加価値化が
進み…
とありますが、ここでも熱帯魚、ましてや水草などは
事業の成長性を考えた場合には含まれないであろうことが
想像できます。成長性の裏付けがペットの家族化ですし、
そもそも家族化、と言うのは主に犬・猫を指している
はずです。
また、
「ペットフードやペットシーツなどの多くのペット用品は
定期購入が必要であり…」
とありますので、ペット用品のメインはその辺りであり、
定期購入が見込める高額・高付加価値の商品が狙いです。
交換濾材が売りたくて仕方ないわけではありません(笑)

以上のことから、アスクルとしては観賞魚関連は特に
魅力的に映っているようには見えず、こちらに居る
私から見てもリスクでしかない生体の販売を継続する
理由はあまりないように思います。

もちろん、雇用や以前からのステークホルダー、
チャーム自体のアイデンティティと言いますか、
チャームのチャームたる所以と言った部分が
担保されるような契約で売却しているのかも
しれませんので、当面は大きな変化は無いのでは
ないかとも想像しています。

水草の通販で名を馳せたチャームさんですが、
個人的には一時期、水草専門店はチャームさんしか
無いという印象を持っていました。なぜかというと
多くの水草専門店で、実はいわゆる小型美魚や
レッドビーがメインであったり、メンテナンスが
メインであったりすることが殆どだった中で
本当に水草の通販だけ、と言う印象があったからです。
行ったことも利用したことも、お話したことも
ありませんから本当はわかりませんが(笑)

もちろん、当店も含め多くの水草専門店と言う看板を
掲げていたショップの推移を見ればわかるように、
そんなものの上限は知れています。
事業規模の拡大とともに、取り扱いアイテム数と
ジャンルは増加せざるをえません。
その結果、年間売り上げ129億円(どこかの10倍?)と言う
凄まじい規模となったわけですが、それと引き換えに
水草や熱帯魚の専門ではなくなりました。
それが良い悪いではありません。
ただ、熱帯魚と水草だけではこうはならないです。

個人的には、アクアリウムに限界を感じた結果だと
思っていて、チャームとして店舗は存在しますが、
概念上、観賞魚業界からの撤退、事業的には
イグジットだと思っています。
こう言うことは昨日今日で決まることでは無いと
思いますので、かなり前から模索していたのだと
想像します。ただし、台所事情はわかりかねますので、
個人としてはイグジットでも企業としては
出口戦略と言ったところなのかもしれません。
その辺りは外部からはわかりません。

いずれにせよ、この業界の矮小化は今もなお進行中では
ないかと考えられるのではないでしょうか。

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