2006年11月12日日曜日

再び注目されるアヌビアスの仲間

近年、残念なことにアヌビアスの仲間が姿を消している状況にあります。
特に水草ファーム最大手、シンガポールのオリエンタルアクアリウムからのみ
入荷するタイプが順を追ってリストに載らなくなってきております。

以前の記事にも掲載しましたが、危惧種であったアヌビアス ナナ“ラウンドリーフ”も
入荷が止まってしまいまいした。
この種は入荷時の形状があまりにも弱々しく、成長が遅いことが容易に想像できました。
このような生産性の良くないものは商品として機能せず、生産を中止にすることがあります。

しかしながら逆にギニア便という興味深いルートが確立されております。
この便ではワイルドということで複数種のアヌビアスが程よい大きさで入荷しております。
入荷は主に夏~秋にかけてで、比較的安価なバラ株という状況です。

以下、入荷した種類と簡単なコメントであります。

ピナエルティ
ギニア便でしか入荷しない名前であります。しかしながら、本種ではないようです。
耳付きの大変見栄えのする種類であり、良いものです。

ギレッティ
本来ならば小さな耳をつけるのですが、入荷型には耳が全くありません。
耳付き種は幼株のうちは耳がありませんが、耳になる箇所があるように見受けられます。
残念ながら本種はそれが無く、ギレッティではないようであります。
当店にて現在精査中であります。

グラキリス
恐らく本種は外れることが無いはずです。
大型化しないので小鉢に仕立てるには最適であります。

ギガンティア
比較手に馴染みのある耳付きの代表種。
入荷する株は同便のピナエルティと明確な区別が無いような状態であります。

カラディフォリア
先日ドイツ・グラ社よりカラディフォリアが入荷しましたが、概ね間違いないと思われます。
ギニア便のカラディフォリアは明らかに別種であります。
アフゼリィやランケオラータの名前で入荷するような種類であろうと思われます。

ランケオラータ
細葉のものが入荷しております。複数の細葉種のシノニムに落とされているようでもあり、
種としての存在は不明でありますが、細葉のアヌビアスの代名詞でもあります。

ミニマ
バルテリィ var.グラブラのシノニムのようです。
細葉形ではありますが、葉が比較的短めで展開しており、葉縁にウェーブ等ありません。
ファーム数社から入荷する「ミニマ」とは形状がことなりますが、グラブラと考えるなら
ファームものが正解のように思われます。

アングスチフォリア
葉色が濃く、茎が赤みを帯びるようですので、本種のように見えます。


ギニア便でやってくるアヌビアスの中には、未入荷だった種が含まれている
可能性もありますが、入手できる時期は限られております。
また、ファーム物のアヌビアスは、ナナやバルテリィ、コーヒーフォリア以外は
条件の良くない販売ケースでは長持ちしないため、ショップに並ぶことが少ないのが
現状であります。

そういったことから、何年間も書籍では見ているものの、現物を見る機会が少なく、
つまり入手するには積極的に探さねばならないと言うことになります。
さらに前述したように、良いものにもかかわらずファームなどの事情で生産が中止され、
二度と入手出来ないということがあります。
つまり、種類を集めるにはタイミングが重要であります。

オープンアクアリウムが主流になった現在、大型化する耳付きアヌビアスの仲間を
エキノドルスのように水上化させることも可能であります。また、水上育成も容易な
これらはビオトープにも最適で水鉢仕立ても楽しめるものであります。

炭酸ガスの添加も自由に出来るので、一部の細葉系アヌビアスを水中で
状態良く育成することも可能となりました。

育成法・収集などまだまだ楽しめる要素があるアヌビアスの仲間が、これから
一部では注目されていくと思われます。

日本語の水草関連書籍では以下のものがアヌビアスの掲載が多くなっております。

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